クロード・ソーテ 『墓場なき野郎ども』
 1960年のある日
 
  
  
 
 河原町蛸薬師の角に文映という薄汚い小屋があって、文化映画劇場の略かなにかよく憶えていないが、そこに祖母に連れられて行った。京都に移って間もないころだった。
 この小屋はわりと早く廃業して、キャバレーに変わった。
 この映画とつながった思い出のみが不思議と残っている。
 
  
  
  
 
 原作者ジョゼ・ジョヴァンニの名も知らず、ジャン・ポール・ベルモンドもこれがデビュー作と勘違いしていた。
 予備知識があったのは、主演のリノ・ヴァンチュラだけだったか。
 原作の翻訳は十年後。
 ベルモンドの登場シーンには目を見張ったものだ。こんなにもかっこいい役者がいるのかと素朴に感動してしまった。ゴダール映画よりも数等まさる。
 
 
2022-09-07

