2021.03.26 『私は確信する』2018
UPLINK吉祥寺
最近ここばかりで映画を観る習慣になっている。
『DAU』はハズレだったが、これは大当たり。
『私は確信する』 2018 UNE INTIME CONVICTION
監督 アントワーヌ・ランボー
フレンチ・ミステリの伝統と精華がここに。
10年間、「推定有罪」の精神的迫害に耐えた男の物語。
マスコミ、検察、警察、そして市民感情。すべてが、この男に妻殺しの汚名をかぶせ。「ヒッチコック狂」のニックネームまでつけた。
裁判は真実の究明とは別個のゲームだと割り切る弁護士。
検察が(物証もなく)主張する仮説を法廷が受け入れるかどうかなのだ、と。
冤罪とは、その仮説(出来そこないの探偵小説)の勝利にほかならない。
疑惑の罠にとりかこまれた時、その時点で、その容疑者の人権は[終わる]。
これは、メグレ・シリーズが繰り返し描きつづけた題材であり、テーマだった。
実話を元にして、こうした傑作がつくられる。この伝統ーー。
2022-09-08